SPAよ、どこへ行く

本日の「ごちそうさん」。
「ポンポンポーンっと3人生みますよ」ってこのことか、年明けたら展開が早いなあ。もうすぐ終わるの?

本題。
SPAというのは生産から販売まで一貫して行う業態のことですが、ここではよく使われるアパレルのことだと考えてください。
ただ、特定ブランドを頭において書くのではありませんから誤解の無いように。

「1月3日にカンボジアプノンペンで縫製工場労働者らが警官隊とと衝突し、3人が死亡」というニュースが報道されました。
どうなってるんだと各報道機関の報道内容を比べてみたが、どうも詳細がまちまち、あるいは不明な点が多く事実が把握できない。
私なりにいろんな記事を比べて勝手にまとめてみるとこうなる。
よく分からない話をよくわかっていない人間がまとめているんで間違っていたらごめんなさい。

昨年12月から最大野党、カンボジア救国党党首サム・レンシー氏が縫製工場労働者を率いて待遇改善と首相退陣を求めてデモが続いていた。1月2日にはプノンペンで縫製工場労働者が軍部隊と衝突し、労働者ら少なくとも15人が負傷。
3日には工場労働者による待遇改善を求める全国規模のストライキに発展し、プノンペンでは縫製工場労働者のうちおよそ35万人が賃金の引き上げとフン・セン首相の退陣を求めてゼネストを実施。
数千人の労働者が南部の道を封鎖し、タイヤを燃やす等の行為に及んだため、これを排除しようとした治安部隊と衝突。
労働者側は棒、石、火炎瓶で武装、治安部隊はライフル銃を発砲し、少なくとも労働者4人が死亡、21人が負傷した。

という具合なんですが、どうも縫製工場労働者の最低賃金の引き上げ問題に端を発しているようです。
現行は月額80ドル、政府側は2018年までに段階的に160ドルに引き上げる計画を提示、しかし、労働者側は直ちに160ドルへの引き上げを求めて決裂したとのこと。
工場は再開されつつある、という報道もあるけれど、問題解決の筋道は見えていません。

日本で餅食っている間にも世界のあちこちで様々な衝突は続いています。

この記事で驚いたのはプノンペンの人口は約220万人なんだけど、35万人の縫製工場労働者がいるということです。
そのまま勘定しても10人中約1.5人は縫製労働に従事しているということ。

これはよく言われていることだけど、かつては中国が世界の縫製工場だったんだけど、人件費が高騰して採算がとれなくなり、より人件費が安い国に工場が移っているとことの現れです。
安価な衣料だけでなく有名ブランドまでどんどん手を伸ばして行っています。

安さを求めるのであれば、経費を削るのが当たり前、それに利益を上げる仕組みを作るわけだから、一番いいのは人件費を抑えることであることくらい私でもわかる。
最初はお金を落とす企業がやって来るのだから、政府も国民も喜ぶ。
しかし、これまでより豊かになり、仕事の仕組みがわかってくれば賃金のアップを求めるのも当然のこと。
何も無理を言っているわけではない。
だけど、「安いから行ったのに、もう賃金アップ?」という企業は出てくる。
「じゃ、もっと安いとこ」を探すことになる。
バングラデッシュあたりに現在シフト中。

低開発国、あるいは最貧国から豊かな国を目指すのは何も間違っていない。
日本もそうでした。
アメリカみたいになりたいなあ、と思っていたはずです。
開発はするけど、製造は安価な人件費の国でというのも激しい競合にさらされていれば経営者にとってはやむを得ない選択だったでしょう。
アメリカなんかなんにも作ってないもん。
日本もそうなりつつあります。
なってんのか。

こうして私が就職した頃から声高に叫ばれていた「国際化」は「グローバリズム」と名前を変えて、FTAが推進され、TPPが議論となっております。

元に戻そう。
ファスト・ファッションという言葉が私にはよくわかりません。
なぜならほとんど衣料品を買うということがないからです。
10年、20年着続けているものが山のようにクロゼットにぶら下がっていて、新たに買い足す必要を全く感じないからです。
私のことはいいや。
人様に自慢できることでもなさそうだから。
でも、そんなにいりますかね?着るものが。
一年着れれば、それで充分、というのがよくわからない。
安くて品質のいい衣料品は私も好き。
でも、毎年新しくするんだから安くていいというのはよくわからない。
いいものだから好きなの?
安いから好きなの?

その結果、世界中のアパレル企業は最貧国と呼ばれていた国巡りをしております。
貧困はあらゆる問題を引き起こしますから経済的に豊かになることは大変よいことだと思います。
豊かでない国に行って「私達が忘れてしまったものがここにはある」なんてアホなことは言わんで欲しい。
「このままの方が面白いんだけど」という私のようなねじ曲がった貧困な精神の持ち主は間違っていると思います。

最初から結論を出そうとは思っていないんだけど、安く作れなくなったらやっぱり撤退ですか?
安く作れる国がなくなったらどうします?
高くしちゃうか?

グローバリズムって世界の貧困がなくなって、みんなが幸せに暮らせるようになりました、じゃないのよ。
世界中の国でどえらいお金持ちととんでもなく貧乏な人を増やすことでした。
かなり乱暴だけど、まだどうにかなるような気がします。
まだ、誰も答えを出せていません。
どうしましょう。

プノンペンの朝。