新しき世界(英題 NEW WORLD)

本日の「ごちそうさん」。
今日杏ちゃんが食べたあの訳の分からんもんは本当はどんな味がしたんやろうか?

本題。
私の映画紹介を読んで観に行ってみたら、なんだかわかんなくて「あの何が面白いの?」と素朴な質問をしてくださる方がいるんですが、「それは残念」としか答えようがございません。
観る人間が全員面白いという映画なんてたいしたもんじゃありません。
映画を紹介したあと「大倉の保証付き」とか書いてますが、あんなの信用しちゃダメよ。
「大倉が面白いと思ったということは保証します」っていうのの略なんだから。

さて、また韓国映画にやられちゃったよ。
とんでもないよ、今回のは。
犯罪組織への潜入捜査官の話なんだけど、これは「インファナル・アフェア」をもう蹴飛ばしちゃったよ。
観てて息がつまる。
悪い悪い、全員悪い。
悪いけど登場人物は自分なりの筋を通そうとしますわな。
でも、その筋の通し方がころっと入れ替わる。
観ている側は誰に感情移入するべきなのかわからなくなる。
それを狙って作ってるから、たちが悪くて、底なし沼にはまったようにこちらも映画の中でもがくわけですよ。
逃げ出せないねえ。

監督が「すべては私の『ギャング映画への憧れ』から始まりました」って言ってんだから、もうしょうがない。
しかし、役者がうまい。
何が違うのかわからないけど、あんた本当はそちらの仕事もされてるんじゃないすか、と疑いたくなるくらい怖いよ。
で、まあ、いつものことなんだけど、どえらくカッコイイす。

かつて「仁義なき戦い」を観たあとは肩で歩いている兄さんたちが多かったんだけど、韓国ノワールはもう疲れちゃってグッタリ。

成美大学の李正煕教授がこの映画のバックッグラウンドについての文章を監修されているが、韓国華僑という人たちが歴史的に韓国で差別され、現在では状況は変わりつつあるけれど依然として根強い差別構造が残っているという指摘はこの映画を理解するのに役立ちました。
興味のある方は自分で調べてね。

この映画に痺れなかったら、私が痺れさせてあげますから、海に行って全力で走ったあと、「オオクラー!バカヤロウー!」と叫んでください。
そのうちお訪ねします。

明日公開です。