建国記念の日に寄せて

本日の「ごちそうさん」。
いろいろあるけどなあ、「お国のため」っちゅーのは信用したらあかん。

本題。
昨日は休みだったことはわかっていたんもですが、今年は誰も卓上カレンダーをくれなかったので、なぜ休みなのかわからないままでございました。
フリーランスだか、フリーターだかわからない生活をしているのも曜日、祝日がわからなくなる理由でございます

FBで建国を心から喜んでいらっしゃる方の投稿を見て、「そうか、建国記念の日だったんだ。でもなんで建国記念日じゃないんだっけ」とまず最初の反応がボケておりました。
ずっと建国記念日という日があると思い込んでいたのであります。
建国記念日なんて最初からないんじゃん。
もともとは紀元節だった日が戦後廃止され、その後、自民党建国記念日にしようと躍起になっていたのを社会党が反対し、「建国されたという事象そのものを記念する日」ということで「の」を入れたらなんとなく納得、ということになりました。

なんでめでたいかというと、日本は「世界で一番長い歴史を持っている国」であり、誇るべきことであるから、ということなんですが、世界で一番長い歴史ってどういうことなん、と思う私は日本史を知らないからだという批判はされたくないなあ。
神武天皇が即位したのが西暦紀元660年前、現在皇紀2674年、天皇家は以来連綿と血縁により維持されており、まごうかたなき世界で一番長い王朝を形成しているから、ということなのね。

長けりゃいいのか。
ギネスに載せているのかどうか知らないけど、極端な方はその長い歴史を持つ国に生まれたことを大変誇りに思い、こんなに長く続いているのは日本が霊性を持っているからである、世界の中心である、とまでおっしゃる。

神武天皇が即位したとされる紀元前660年は日本では縄文時代弥生時代が入れ替わる時期に当たっています。
その時期に日本という国が成立したというのはない。
諸々諸説入り乱れておりまして、議論をしても仕方ないと思いますが、100歩譲って当時の権力者が現在の日本のほんの一部分を治めたということはあるかもしれません。
しかし、天皇家がそれ以来続いているというのは歴史ではありません。
神話です。
ごちゃ混ぜにするのはやめようぜ。

日本という国号が成立したのも大宝律令によってです。
701年のこと。

継体天皇以前のことははっきりしたことは言えませんが(議論がまとまる気配ゼロ)、継体天皇から先は南北朝等々ありながらも、まあ続いていると言えなくもない。
ちなみに継体天皇は6世紀前半の人でございます。
その継体天皇だって100年生きた、20年だったと要領を得ないこと甚だしい。

安倍首相は現職首相としては初めてメッセージを発表しました。
よほどお好きな様子ですね。
「国を愛する心を養う」「今日の繁栄の礎を営々と築いてきたいにしえの先人の努力に思いをはせ」「田畑をともに耕し、水を分かち合い、乏しきは補い合って五穀豊穣を祈り・・・」「長い歴史の中で幾度か災害や戦争などの試練を経験してきましたが・・・」
相変わらずのあれですな。

面倒なんでいちいち反応しませんが、日本国内は常に仲良くやってきました、みたいな表現は「あらま」とびっくり。
天皇家に於かれましては、世継ぎで凄惨な殺し合いは毎度の出来事。
江戸時代に至るまで戦ばっかしの陣取り合戦。
戦争で試練を経験したのは日本が仕掛けた侵略戦争の犠牲国、犠牲者。
それはアメリカの陰謀で、と言う人もいるようだけど、アメリカとの戦争の10年以上前から日本は中国侵略に乗り出しております。
また、日本人も「お国」のために大変な試練を受けたのは事実。
誰が試練を与えたのかそれには一言も触れられないんですねえ。

戦後、天皇に戦争責任があるかどうかはマッカーサーに委ねられたけど、あそこで「責任あり、天皇家は廃止」と決まっていれば皇紀2674年なんてものはありません。
日本は占領されておりましたのよ。

建国神話、民族神話というのはおよそどの国、どの民族にも存在し、それは様々なバラエティがあり楽しく、かつ、誇りあるものであるので、私は神話自体を否定するなんてことを一度たりとも思ったことはありません。
でも神話と歴史を混同してしまうとおかしなことになってしまいまするぞ。

よろしくお願いしますね。

ネパールにも建国神話がありますよ。
でも誰もそれが事実だとは思っていません。

カトマンズ、ネパール。