家路

本日の「ごちそうさん」。
当時はすでに軍内部でもこんなデタラメやめさせんといかん、という声も上がっていました。
ただ、それはスポンジ吸い込まれるように聞こえなくなってしまいました。
安倍首相は非常時には「人権の停止」を行うと言い始めています。

本題。
様々なご意見を皆さんお持ちだと思いますが、私は原発には反対でございます。
この問題になると「できっこない」「絶対可能」と極端に意見が分かれてしまい、どちらも相手の言うこと聞く気なし、という雰囲気になり議論をする気にもならんという印象があります。
ま、かくいう私も原発には絶対に反対でありますし、再稼働、新規原発建設、原発輸出を進める安倍政権には強く反発しておりますし、多少感情的になることもあります。
ここで、その是非について比較検討をする気はありません。
すでに多数の主張が様々なところで読むことができますし、検討も行われています。
それを冷静に咀嚼して、で、どう考えるかです。

あえて言うならば、再稼働に反対ではありますが、各原発には核燃料棒は入ったままですし、これまで出てきた核のゴミの最終処分についても、忘れたふりはできませんから、それをどうするのかも現実的に考えないわけにはいきません。
モンゴルに持って行こう、ロシアに埋めてもらおうとかホンマかいな、というお話もあるようですが、疑問を持つのは私だけじゃないと思うんだけど。

余計な前フリになりました。

映画の話です。
震災後、立ち入り禁止区域となってしまった福島県に突然「弟」が一人で帰り、農作業を始めます。
そんなムチャクチャな、と思うところから始まりますが、やがて故郷を失うということがどういうことなのか、ということに気がつき、しばし呆然とします。
私も故郷を離れ、もう「帰る」場所がなくなっているので切実に感じるものがありました。
もちろん家がなくても帰ろうと思えば帰れるわけですから比較にはなりませんが。
自分が育った場所に強い愛着を持つのは当然です。
それを単なるセンチメントだと片付けてしまうのは物理的には合理的かもしれませんが、感情的には全く不合理です。
浪江町では帰還について議論が進められているようですが、「帰りたい」という意志を持つ人の数はすでに20%を切っているとのことです。
故郷を失うということがどういうことなのかを思うと胸が潰れます

この映画は原発反対を叫ぶものではありません。
観た人がどのように感じるか、考えるかは自由です。
ただ帰れない、帰ることが許されなくなった故郷が日本にできてしまった、ということをわからせてくれます。

撮影では川内村の緊急時避難準備区域の家屋が使用され、兄弟が歩くシーンは居住制限区域となった富岡町内で行われました。現在は制限は解除されていますが、実際は15歳以下の立ち入りは原則禁止されています。

監督はドキュメンタリーで数々の賞を受賞している久保田直氏、この作品が劇映画デビューとなります。
企画協力に是枝裕和氏、諏訪敦彦氏、主題歌は小林武史氏、脚本が「いつか読書する日」の青木研次氏。
よくこれだけの俳優を集めたと驚きました。
松山ケンイチ、田中裕子、安藤サクラ、内藤聖陽ほか考えられないような名優が、淡々と「盛り上げない」演技を見せてくれます。

3月1日公開です。