安倍首相、出番でございます

イラク情勢は加速度的に不安定となっております。
ちょっと前の報道ではイランは武装集団ISISがイラン国境線100キロにまで迫ってきた場合は攻撃を開始するとイラク政府に約束していたんだけど、今朝のニュースではイラン革命防衛隊がイラク北部の主要都市ティクリートに動員し、イラク政府軍とともにティクリートの85%をISISから奪還したと伝えています。

もともとイランはイラクシーア派を支援していると言われていたので、この流れはおかしなものではないけれど、国境を越えて正式に軍(革命防衛隊は名前は軍ではないけれど、軍隊であることに間違いはありません)が他国で活動していることを認めるというのは極めて異例。
イラク政府軍と一緒に戦っているというのはイラン・イラク戦争を知る私達世代にとってはやはり時代の大きな変化を感じる出来事であります。

その上、イラク軍はアメリカにISISに対する空爆を容認(依頼?)することを示唆し、オバマ大統領も空爆も選択肢のひとつと答えたところまでが昨日までの話だったんだけど、今日はアラビア海で行動中だった空母(その名もジョージ・H・W・ブッシュ)をペルシャ湾に展開するように命令を下したと、状況の変化は激しい。

そんな中、日本では安倍首相がホルムズ海峡での「機雷掃海もしっかりと視野に入れ、与党には議論して頂きたい」と公明党に圧力をかけ続けております。
先日の集団的自衛権の説明では具体的かつ不思議な絵付きボードを使い、極めて情緒的にその必要性を訴えておりましたが、現在の機雷掃海についてはどのような具体的事例を考えているのかがよくわからない。
もしも機雷が撒かれるとすれば、イランかイラクだと想定していると思われるんだけど、どう考えても両国がホルムズ海峡でそんな行動に出ることはないでしょう。
今後も両国が機雷を撒くなんてことは考えられない。
考えられないことを考えないから原発事故が起きたので、100%ないとは言えないけど、今回の安倍首相の主張は極めて限られた事例に限ると枠をはめているようなので、何をそんなに急いでいるのか理解に苦しむ。
親日国イランが機雷を撒くか?
あの百田尚樹氏が今年3月イランに行って大歓迎を受け、イランを敵視するアメリカを「普通ではないのはアメリカ人だと思う」と言ったから笑っちゃう。百田氏はアメリカも嫌いだもんね。
イラクが機雷を撒く、というのも笑止千万。
イラク戦争アメリカの歴史的汚点となるひどいものだったけど、現在イラクアメリカなしでは成り立たない。

そこで、安倍首相の「積極的平和主義」の出番でしょう。
もともとこの言葉、安倍首相はものすごく曲解して使用しているみたいなんだけど、アメリカの法学者クインシー・ライト、ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥングが「戦争のない状態」である消極的平和と戦争がないだけでなく「貧困、差別など社会構造から発生する暴力がない状態」と積極的平和(主義)と定義付け、それが現在世界の一般的解釈となっております。
まあ、それはいいや。

ここで、私は安倍首相に彼なりの積極的平和主義でもいいから、ひとつティクリートに降り立って、降り立たなくてもいいか、現在のイラクの混迷を収拾すべく素早い行動を促したい。
シーレーンの確保については心配する必要はないんだけど、中東の平和は我が国日本にとって極めて重要であります。
その意味からすれば安倍首相がISISとイラク政府、イラン政府との仲介に乗り出すことは世界中の国から歓迎されることであります。
何より丸腰というのが強い。
空母浮かべて、「おいっ!」ってやるのが意味があるのかどうか不明だけど、戦国の世から丸腰で懐柔に乗込むというのは日本のお家芸
黙ってて平和になるといいなあ、じゃなくて、軍隊派遣して「武器を捨てろ」じゃなくて、丸腰で「話をさせてくれ。妥協点を探ろう」とやってくれよ。
積極的平和主義を実践してください。
大丈夫。
日本はちゃんとやっときますから、是非解決の道筋を見つけるまで帰ってこなくてかまいません。

これやると中国、韓国との関係も改善されるんじゃないかな。
平和ボケの大倉、と罵倒されても結構。
この平和ボケを貫くつもりだからなんとでも言ってください。