もともと生命の研究をしたいと思っていました、嘘。

昨日私はものすごく頭が良くなった。
鶴見にある理研に行ったからだ。
なんやかんや言う人がいるかもしれないけど、久しぶりに脳味噌ビンビンに刺激されて帰って来て、しばらくは興奮が続いてしまい、お酒で神経をなだめるしかなかったくらい。

友人のお嬢さん、蓑田亜希子博士が機能性ゲノム解析部門長、ピエロ・カルニンチ博士の下でエピゲノム技術開発ユニットのユニットリーダーをされてる関係で、現在の研究内容を10名くらいのど素人にもわかるように砕いて講義してくださったのでございます。

思い起こせば生物なんて科目があったような気がするな。
得意だった記憶が全くないので、マルデダメ男だったんでしょう。
しかし、歳を取るにつれて、やはり生きているということの意味を知りたくなるのが人情で、文学、哲学、動物行動学、心理学、生物学、量子力学宇宙研究とやたら手を広げて、本を読みあさったんだけど、やっぱりあれでしょ、一人で本読んで、「ああ、なるほどな。こういうことか」と納得できるような人間がいたとすれば、それは私じゃないでしょ。
「ふんふん、はんはん、へー」くらいまではなんとなく行き着けるんだけど、2時間経つと忘れちゃったりするからね。

やっぱり座学+質疑がないとわからないもんですよ。
私は全く質問できなかったんだけど。

遺伝子がすべてを決定する、って何がすべてなのかもよくわからないけど、そんなことをよく言いますね。
でもですね、最近話題になりました万能細胞のときに皆さんいろいろ疑問に思われたように、人間のすべての細胞に収められているている遺伝子というのは細胞がどのような形状であっても全く同じものであります。
ところが受精したES細胞は分裂が進むに従って身体の各所に合うように形状を変えていきます。
なぜだ!
なーんで同じように分裂していく細胞が途中から、俺は髪の毛になる、あたしはおへそになるとかわけのわからんことを言い出すのか。
おかしいでしょ。
DNAから転写されるRNAってなんだっけ、じゃなくてひとつだけじゃないんですよ。
メッセンジャーRNA(mRNA)やらなんやらいろいろございます。
その中にノンコーディングRNA(ncRNA)というものが実はやたら多いのではないかと推測されております。
半分以上、あるいは7割か、とも言われておりますが、その辺り、まだよくわかっておりません。
このncRNAの機能は現在のところ95%は不明でありますが、こいつがどうもタンパク質の合成を阻害したり、促進したりしているらしい。
ということはこいつが解明されればアルツハイマーパーキンソン病の早期発見も可能になるかも。
しかし、そうかなとわかっていても、ncRNAはなかなか正体を現さない。
どのncRNAが何と相互作用しているのか、どのように作用しているのかが不明だからであります。
ここまでのところ、ついて来れていますか。
私はついて行けていないところがたくさんあって、上記にも決定的な間違いがある可能性大なんだけど、大倉が書いていることだから信用しないで、自分で確認してね。

さて、その上にだ、エピゲノムというものがある。
ゲノムはDNAで書かれた身体の設計図のようなもの。
エピゲノムのエピは「上」とか「追加」という意味でござる。
全く同じ遺伝子を持った一卵性双生児が全く同じ人間にならないのはなぜなの。
それはエピゲノムが違うからである。

ガン細胞の増殖はエピゲノムがおかしなことになってしまい、細胞がセルフ・アイデンティティを失ってしまっているからと言っても差し支えない。

しかーし、このエピゲノムとncRNA、mRNA、タンパク質は相互に作用しあっていて何がどのように何に影響を及ぼしているのかは明らかでない。
さらに今、話をしているのはひとつの細胞内でのダイナミズムだけど、隣の細胞とコミュニケーション、インターラクティブしており、そこんとこもどうなってんだか。

というようなお話を伺いまして、おそらく私が今わかったようなことを書いていることの90%くらいは間違っているんだろうけど、その刺激的なことといったら筆舌に尽くしがたい。

どこのどいつがミクロの世界でお前はこうして、ああして、こう成れと指示を出しているのか。
どうすれば私のようなポンコツ人間が出来上がるのか。
これはまた私の中では宇宙論に繋がるとんでもないテーマでしょ。
哲学だ。
「神が」なんて言いたくなる気持ちもわからないではない。

今更、研究者になれるわけもないんで、なりませんが、こういうお話は定期的にやってくださらないかしら。
ものすごくやさしくしてさ。
そしたら私がこんなに間違いだらけのことを書かずにすむ。

そんなイベントが予定されているそうでございます。
詳細がわかったら皆さんにお知らせしますね。
一緒に脳味噌に刺激をいただきましょう。

花はなぜ咲き誇るのか。
人間がそう感じているだけなのか、花も本当は威張ったりしているのか。