クールジャパンとNHKワールド

先日、イギリスの友人宅で腰を押さえて唸っていた時のこと。
竹ちゃんが「これどーよ、とんでもないでしょ」と教えてくれたのが、NHKワールドのバラエティ番組。
タイムテーブルが見つからないので、毎週何時にどの国でやっているのかわからないんだけど、関根真理さんMCで「カワイイ」をテーマにして進行している背筋が凍る、日本人なら恥ずかしくて翌日は外出できないくらいのゲロゲロ番組です。

関根真理さんは日頃から大変好ましく思っておりまして、この番組を見て評価を下げたということはないのですが、「なんでこんなのに出ますか、出しますか?」とお尋ねしたいところです。

えー、思い出すのも内容を説明するのも苦痛なんだけど、先週、高市総務大臣が「NHKワールドを6カ国語で放送して欲しい」と話しているという記事を読んで、その横に「日本政府観光局がクールジャパン機構と提携する」という地雷も踏んでしまったので、この狂ったクールジャパンとNHKワールドの訳の分からん関係について、ほんの少しだけ触れさせていただきます。

あのですね、私が見たのはミャンマー特集でした。
ミャンマーの現状を関根さんの視点でうまく見せてくれるのか、日本人がどのようにミャンマーに関わっているのかを外国人が感心するような作りになっているんだろうと思うでしょ。
そう思って作っているんだったら、制作者は真剣にこれからの人生を考え直した方がいい。
作らせている側も即辞表を出しなさい。

ミャンマーに3人のギャル「カワイイクリエイティブディレクター」が参ります。
「あー、これカワイイー!」
「日本じゃ手に入んないねー!」
「なになになに?すごーい!」
バカ丸出しで街巡り、失礼、楽しいお買い物。

なにすんだろ、と見ていたら、それを日本に持ち帰って、カワイイファッション作りに精を出す。
まあ、何が可愛くて、何が不細工なのか私には皆目見当がつかないので、それはしょうがないとして、あろうことか、日本在住の若いミャンマー人の女の子をキテレツな服だのアクセサリーでゴデゴテにしていきます。
ミャンマー人がミャンマーで発見されたカワイイものをズタボロに変形させられたもので覆われていくさまはいともすさまじけり。
どうしてミャンマーの女の子がこんな格好させられんの?
3人の「クリエイティブディレクター」がそれぞれの「コンセプト」の説明。
「やっぱりミャンマーって象だと思ったんで、ピンクに塗って頭に載せてみました」
へ〜、じゃねーよ、は〜?
おめ〜、「やっぱり日本ってツキノワグマだと思うんで、ちょっとおしゃれに黄色に塗って、お尻にくっつけるといいと思うわ」ってやられて嬉しいか?
最後は3人にとんでもない格好させられた女の子が3人並んで、審査員のおばさんが優勝者発表。
何がどうして優勝者が決められたのか全く理解できないんだけど、そういうオチね。
「ねー、みんなカワイイねー!!!」
で、おしまい。

あー、あのですね、時間は確か夜の10時くらいから。
どのチャンネルをひねってもニュース解説番組で埋められており、ウクライナ情勢、ISISの動向、パレスチナ侵攻を解説、分析、議論している中、日本のNHKワールドは摩訶不思議な着せ替え番組。
「恥ずかしくてたまらんよ」と竹ちゃんが嘆く。
私は気分が悪くなり、ぎっくりの腰を押さえて、お借りしていた部屋にげっそりしながら這っていきました。

クールジャパンとはクルクルジャパンのことか?

もう、いいんじゃないの。
本当にクールな人は自分でちゃんとやってるって。
おかしな助け舟は泥舟なんだから、必ず沈みます。
余計なことしないで撤退しなさい。