おとなのけんか

この映画、明後日公開なんだけど、評判はどうかなと検索してみたらすごい数の批評が出てきた。
映画評っていつ書くのが一番効果的なんだろう。
私はあまり早いと忘れちゃうんじゃないかと思って、公開前日に書いたり、話したりすることが多いんだけど、ダメだな。完全に置いていかれている。もう大倉が何を言おうが、見る人は見るし、興味ない人は
振り向きもしないでしょう。

まあ、でも、今日はこれだな、と張り切っていたので書かせてくださいな。
読み飛ばしてくださいな。

ロマン・ポランスキーだし、4人の出演俳優がアカデミーキャスト(本当は一人だけノミネートに終わっているので、悲しい嘘が混じっている)なので、背筋が凍るような薄気味悪い、悲劇的なドラマだと思っていた。
登場人物は4人だけ、とは知らなかった。
映画が始まって、妙に演劇っぽいなあ、と鋭く察知したのだが、その通りじゃないか。
もっと鋭い人はとっくに知っていたか。大竹しのぶ段田安則が去年やってたじゃない、という話である。どこまでも鈍い私。

知っていれば絶対に見に行ったのに、と映画が面白かったから語る私はなんなんだろう。

舞台はニューヨークのブルックリン。でも撮影されたのはどこか別の国だ。アメリカで撮っていたらたいしたもんだよ。「ポランスキー密入国で撮影決行!」ってキャッチになっていたはずだもん。

私は自分のことではあまりけんかはしない。せいぜい4年前インドで「バナナ一本5ルピー」と吹っかけられ、怒髪天を衝く勢いで、「おめー大概にしとけよ、こっちはインド中散々バナナ食って回ってんだ、舐めてんじゃねーぞ」と怒鳴りまくり、2ルピーにさせたことがあるくらいかな。

ああ、カンボジアプノンペンからシェムリアップへ向かう船の中でカンボジア人の雑用係の男にチンチンを触られて、迫られたときは本気で怒ったね。ゲイに偏見はまったくないが、いきなり触ってくるのは痴漢と同じでしょ。怒って当然だよな。すごく悲しそうな目をしてたんで、こっちが悪いことをしたような気になってしまいました。誘うときは「いい?」って聞いてからにしたほうがいいと思うぞ。

仕事では結構怒る。結局は自分のことで怒ってるんだろうけど、仕事という隠れ蓑があると怒りやすいのかな。

映画の話でした。

すごいね、この芝居は。クールに「おとなの話し合い」を始めたところからぞくぞくするのだが、アパートの一室が宇宙のような広がりを見せていく。スターウォーズみたいなことじゃないんだけど。
「バーカ」「バカというお前がバーカ」的な展開に目眩がする。
4人全員がおとなのイヤーなところをさらけ出しているんで、誰にも感情移入できないってのもいい。
これネタばれじゃないよね。でもこの辺で止めといた方がいいような気がする。

読売演劇大賞大竹しのぶが最優秀女優賞をもらっているが、彼女はどんな風に演じたんでしょう。
日本人にあんな皮肉なやりとりはなかなかできないと思うんだけどね。

今はインド、インフレが続いているんでバナナの値段が分からないけど、絶対に日本円で1本15円ってことはないですよ。房で買ったほうが間違いなく安いんだけど、暑いんで二日ももたない。