丸玉

ラーメンの話ばかり書いていてはイカンよ。
自分で決めたことなのだが、月一くらいでは許してやってもいいんじゃないか。

もう、すっかり有名になってしまい、いまさら紹介しても新鮮味がない店を紹介するのが新鮮である。
もともと埼玉方面にあった店が東京に出てきた時、ラーメン王石神氏が自信満々でラーメンの本で紹介しているのを見て、すっ飛んでいった。10年も前のことだろうか。

両国の駅から徒歩5分くらい。店名は正式には丸玉ではなく、玉の字を丸で囲んでいる。
もしかしたら「玉に丸」と呼ばせたいのかもしれないが、みんな丸玉で通していて、「違います」とは書いていないんで、多分間違っていないはず。

ここのラーメンは普通じゃない。
これは普通じゃないよ、というラーメン店が最近は紹介されることが多いが、あの普通じゃないラーメンを私は食いに行こうとは思わない。
普通じゃないがための普通じゃなさは認めない。

「あ!しつこそうに見えるんですが、意外にあっさりで女性にも」という店にも行かない。

「あっさり」が何故そんなにもてはやされんだ?
しつこくて何が悪い。
おいしくしようと追求していった結果、しつこいラーメンになったんだったら俺は大歓迎だね。
「やはり、女性のお客様にもおいしく召し上がっていただきたくて」って、何言ってんの。おいしいラーメン作りたくて店出せよ。マーケティんグかなんだか知らないけど、おかしなまねするんじゃないよ。

本当においしいしつこいラーメンの店には女性客もドーンと並んでんだよ。
ラーメンをマーケティングで語り始めたら、日本のラーメン界はお終いだね。
流行に便乗するのもやめなさい。

つけ麺好きだよ。
よく行く店があるから、そこは今度紹介しますよ。
でも最近の雨後の筍状態で増えた店は、量は大・中・小でもみんな値段は同じことが多い。ほとんどダメね。
そういう店に限って、つけ出汁がヘンテコに甘い。
な・ん・で・甘くすんだよ!
店が悪いのか、東京人の舌がいかれてるんだか知らないが、甘くするな。

朝から怒ると気分がいい。

丸玉はそんなマーケティング、流行とはまるで関係ない。
これがうまいに違いない、という信念から生まれた奇蹟の一杯である。

この店に便乗して似たコンセプトの店が出てきたが、ほとんどつぶれた。
真似じゃ、真似できないんですよ。
ここのラーメンは鶏スープ。
普通の東京ラーメンと同じにしか聞こえないのが悔しい。

博多の水炊きを食べたことがおありかな。
あの白濁した濃厚なスープをさらにトロトロになるまで、凝縮している。
しつこいよ。
店を出てしばらくは口の中、喉の奥、鼻の中までネットリ感が逃げない。

麺はそのネットリしたスープに負けない、謎の腰がある特製のもの。
トッピングはとろけるチャーシュー。実はこれが私は苦手。でもちゃんといただく。
博多風の青ねぎにあおさ。これがしつこいスープに清涼作用する。
ちょっと値は張るが、私は必ずねぎとあおさを追加トッピングする。

しかし、困ったことが起きた。
もともとこのあおさは四万十川から取り寄せた抜群にかぐわしい香が売りだったのだが、足らなくなってしまい、海で取れたあおさに変わってしまった。違うんですよ。
悲しいし、寂しい。

ここのラーメン、抜群にうまいのでチェーン展開始めたんだな。すでに海外に10店舗もある。国内で4店。ここまで増えると四万十川のあおさの入手は無理である。

減ったなあ。行く回数が減った。
行くけど減った。

何かを犠牲にして売り上げにこだわるのもひとつ。
味にこだわり、一店舗で頑張るのもひとつ。

行く行かないもこっちの勝手だ。

うまいよ。うまいから行って食べてみて。きっと初めての人はびっくりするから。

人気の味玉もあるし、からし入りスープという意外な隠し玉も持っているんで楽しめますよ。
替え玉だってある。

ただ、一旦最高の味を舌が覚えてしまっている私にはもう少し時間が必要かも。
もっと歳とって味がわかんなくなったら、「ああ、おいしい」と心から言えるのかもしれない。

褒めてんだけど、悲しいラーメンの話でした。

この店、いつもJ-WAVEを流してくれてるの。ありがとうございます。

今日はピッタリくる写真がないので、載せるのやめときます。