ひょっとこにたどり着くまで

普段の土曜、日曜は皆さんがお休みで人が多いのでできるだけ出かけず、家でくすぶり夕方から泳ぎにいくことが多い、人嫌いの私なのだが、昨日はどうしても有楽町で観たい映画が2本あったので、寒い中カメラを持って出かけました。
いきなり、話しの腰を折ってなんだけど、インドの立派な映画館に行くとカメラを持っていると入れてくれないことがあるからご注意ください。預かってもくれません。

そんなわけで、本日は14年前に朝の番組でやっていた「散歩日記」のブログ版でお送りいたします。

心構えが足らないのでエレベーターに行き着くまで、何度か心が折れそうになったんだけど、カメラを持って来てよかった。
カメラを構えると急に元気が出るので、いくらでも歩ける。

マンションを出るといつ植えたものか、私の背丈くらいの桜がピンクの花を咲かせていて、かわいいったらない。
こんなんなのよ。

これで浮かれちゃって、時間を食われた。
カメラ構えると時間がわからなくなる。

バス停では最近はあとどのくらいでバスが来ますよ、と教えてくれるんだけど、いつになるかわからんマークが出ていたので、ぐるりと一回り。近所のガキには海賊公園と呼ばれているかなり広めの公園には子供の影も形もない。
ガキを家に入れとくんじゃないよ。無理矢理尻蹴ってゲームを取り上げて、外走らせなきゃ。
風邪引くから外に出さないとか言ってるから風邪引くんだよ。
日本人が外国ですぐにお腹をこわすのは清潔にしすぎだからな。

私の住んでいるところからはバスで銀座まで行けるんでございますことよ。
昔は誰も住んでいない倉庫ばかりのところだったんで、必ず座れてたんだけど、マンションが増えちゃって立って行かなきゃいかんのが面倒なんだけど、昨日は席を確保できました。機嫌のいい私。
おいちゃんは膝が痛くなることが多いのよ。

銀座4丁目で降りて少し戻ると、本日閉館となる銀座シネパトス。
浅草に映画館がなくなる日には最終日に行ったんだけど、今回は特に観たい映画がかかってなかったこともあり、一日前に人が少ない状態でシネパトスを偲ぶ。

この地下映画館に降りる入り口、階段が微妙なアールがついていてすごくきれいなんですぜ。
アールデコだ。

ああ、これで電車の走るゴーという音を聞きながら映画を観ることもなくなるんだ。
全然臭くないんだけど、どことなくしょんべん臭く感じることもなくなるな。
この間は檀蜜主演の「私の奴隷になりなさい」を観たんだけど、あれはちょっとあれだったな。
「インターミッション」はどうもその気になれなくて、予定通りヒューマントラストに向かうことにしたよ。
長い間ありがとうね。
会社勤めのときに時々エロ映画を観に来ていたシネパトス。あ、それだけじゃない。巨大昆虫の住む惑星で地球人がメチャクチャする「スターシップ・トゥルーパーズ」、面白かったよ。シネパトスでしかかけてなかったんじゃないかな。よく決断してくれました。本当にいつも不思議なラインナップだったね。忘れないよ。

映画館には通ったのに、あの居心地よさそうな居酒屋に入ったことがなかったのは何とも心残りだ。
シネパトス閉館後もやっているんだろうか。
「明日で閉店です」とは看板出てなかった気がするんだけど。
まだ続くようだったらみんなで行こう。
まずかったらすぐ出よう。

と、そんな具合にダラダラしていたらずいぶん時間食っちゃったよ。
映画館に直行して、2本分のチケット買って、1時間待ち。
腹減ったんで、これもまた微妙な雰囲気の交通会館地下へ。

ここでもどういうわけか昭和の香りプンプンの桃園に向かってしまう。
チャンポン、皿うどんの店なんだけど、そんなにうまくない。でもちゃんと人が入っているからわからない。
皆さんチャンポンの店だと思い込んでいるが、汁ビーフンもある。私はもっぱらこちらです。

相変わらずわかりづらい店を探していると、目に入ったのがカウンターだけの一見立ち食いそば屋に見えるラーメン屋さん。
そこからえも言われぬ素敵な香りが。
のぞいてみると、透き通ったスープにきれいなストレート麺。柚子の香りが一面に漂っている。
桃園やめた。
行列ができている。普段なら行列嫌いの私が並ぶはずがないのだが、ピターっと行列に加わってしまった。
おじいさまとその奥様二人のお店。10席くらいしかないかったような。
皆さん、食うのが大変に遅くていらっしゃる。麺一本一本啜ってんじゃねーぞ、と恫喝をかけるわけにもいかず、静かに本を読みながら待ちました。和風ラーメンは650円だが、ここはやはり和風柚子柳麺だろう。700円。大盛りで850円。
なかなか進まないもんだと、あきらめていたら前に並んでいたカップルがどうしても二人で座りたいがために、「お先にどうぞ」と席を譲ってくれた。末永くお幸せにね。

どんくらい偏屈なじいさんがやってるんだろうと構えていたら、まあ、その声の柔らかく優しいこと。ラーメンが出てくるのも何故というくらい早い。どんぶり前にして驚いたのは、そのばかでかいチャーシュー2枚。これまで見たこともないぶっとくて長い支那竹
スープを一口。これはあれだ。薬味を入れてはいけないラーメンだ。胡椒、ラー油、唐辛子厳禁。
そのままいただきなさい。
あー、こんなにおいしいラーメンいつできたんだろう。昨日か一昨日?
調べてみたら2005年開店じゃん。
ラーメンのことならなんて言っちゃあいけないね。
普段はドロドロ系のラーメンしか食べないのに、大事に大事に食べて、スープ一滴残さずいただきました。

このラーメン屋こそ「ひょっとこ」でございます。
混んでいる店でカメラ構えるようなことはしないので写真はありません。
確認したい方は、「ひょっとこ」「交通会館」で検索してください。山のように写真が出ています。

観た映画の話は明日になります。