結婚とはなんだ

本日の「ごちそうさん」。
これはいかん。娘はこういう家にはやれん。「ひどい」って泣いとったぞ。

その続きであります。
結婚ってのは赤の他人が一緒に暮らすことになるわけで、それ自体かなり不自然なことなんで喧嘩もしはるやろう、離婚になることもあるなあ、不満の種はどんだけでも出てくるがな。
その上に知らんおばはんが何人もおったらもうやってられへんで。
ああやない、こうやない。「しきたりや」「全部捨てなはれ」じゃもういてられへん。
いやほんまに大阪っちゅうとこはああいうとこでっか。
恐ろしいなあ。(ここまでは大阪弁のつもり)

というほどのことはないにしても、昔は今日の番組に似たようなことはあったんだろう。
やれんのう。

しかし、毎日口にするものの味がある日突然変わっていたら私も困る。
最初の数日だったら、「おいしい?」「うん。おいちー」とかままごとのようなことをやってられても、そのうち我慢できなくなる。
結婚というのは味の妥協点を見つけるということである。

結婚しなくても下関から東京に来ただけですごい食べ物のカルチャーショックだったもん。
博多っ子純情」で東京に時初めて出て来た主人公がラーメン屋に入って、「こんなもんがラーメンなわけない」と怒って箸を折ってどんぶりに突っ込み、出て行く場面があったの覚えてますか。
私も同じことしたくなったもん。
ラーメンよりもさらにショックだったのは立ち食いそば屋でうどんを注文したら真っ黒な汁。
これがうどんか?とすすってみたら、やっぱりうどんじゃない。
あれがうどんだと信じている人間がかわいそうでならんかった。
歳を取るともっと拒絶反応が激しくて、父親が立ち食いうどんを食べたいと言って聞かないんで、仕方なく「全然違うもんやど」と念を押したんだけど、案の定「これはなんか?」と汁をすすっただけで出て行ってしまったこともある。

今じゃ西から来た人も幸せに暮らせる。
ラーメンは全国どこのものも食べられる。
うどんも関西出汁で出てくる。
ネギだって細青ネギがちゃんとスーパーに置いてある。
学生の時は下関から持って帰ったネギをプランターに植えてたぜ。
私じゃなくて妹だけど。

私が結婚した時は砂糖を料理に使うか使わないかで揉めた。
私は砂糖を入れる料理なんて知らなかったもん。
これは親の問題かも。
餅の形状には心底驚いた。
「餅が丸うないでどうするん」
「丸い餅があるってことが信じられない」
食ってみりゃ同じなんだけど、許せんものは両方許せんもんだ。

時々イギリス人と結婚していたらどうなったか想像する。
最近はテレビで「イギリス料理もとてもおいしくなりました」とか言ってますが、嘘。
それはロンドンの一部のレストランがうまくなったことは認めるが、地方に行って飯食ってみなさいよ。
カリフラワーやブロッッコリーはドロドロに溶けてんの持ってくるぜ。
自宅ではどうかというと、先日二泊させてもらった友人の豪邸では、あら、おいしいじゃん、と納得するものがたくさん出て来たけど、あれ毎日やってんのかなあ。疑ってるわけじゃないけど、一般家庭だとジャガイモ一個なんてのは普通。でかいジャガイモを茹でて、それに缶詰のポークビーンズをだらだら皿に出して終わり。あるいはジャガイモ+冷凍食品を一品だけチーンして出してくる。
これは娘がホームステイしたときに経験したことで、迎えてくれた家族はとてもいい人たちで帰りには泣いちゃって大変だったというから、意地悪でやっていたことではない。

イギリス人が連れになったら大変だよ、ってのは偏見か。
食事の妥協点を見つけるのが大変だよ。
芋ばかり食ってられるか。

これからもめ以子が苦労するのかとかわいそうでならないが、一週間くらいで元気になっているような気もする。

こういう人たちの大半はピザを一切れ買って食べている。一切れがすんごくでかい。
レスタースクウェア、ロンドン。