ノーズ・フルートともみじ

昨日夕方、念願の鼻笛が届いた。
で、いきなりであるが鼻笛と呼ぶと家族がゲラゲラ笑うので、ノーズ・フルートと呼ぶことにしましたからご承知置きください。実際、鼻笛同様ノーズフルートとも呼ばれておりますから、私が勝手に名前を変えたのではありません。

「おっ!来た、来た」
と寝っころがったまま袋から出し、適当に鼻にあてて思いっきり「ふーん」と空気を送り込んでみたが、スカー、としか答えてくれない。これは舐めてちゃいかん、礼儀正しく楽器に向かい合おうとちゃんと椅子に座りなおし、思いっきり「ふーーーん」とやってみたのだが、こんどは壊れた高音がピヒャーと鳴るだけで、これじゃ楽器にならん、と放り出そうとした。
諦めがいいところが私の特技である。

しかし、モスリンさんがあんなに楽しそうにトルコ行進曲を吹いていたのを思い出し、ちゃんとペラペラの解説書を読んでみた。

①上の穴の上辺りに鼻をつけ、穴から鼻息が出るようにします。
②口を軽く開き、下の穴の周りに当てます。
③鼻から強めに息を出します。
口の開き方で音程を変えることができます。

これは解説なのか?
しかも、その上の解説には「アメリカでは子供のおもちゃとして楽しまれています」と人を愚弄するようなことが書いてある。

こんな楽器なんですけどね。確かに本物のフルートのような穴が一杯あって、ややこしい押さえ方をする必要はないように思われる。
なんせ穴二つだもん。

15分でなるほどという音が出せるようになった。
30分で簡単な曲が吹けた。
1時間で結構ややこしい曲もこなせるようになった。
そこからはもう楽しくなっちゃって、知ってる曲吹きまくり。

中島みゆき「時代」、手嶋葵「テルーの歌」、ビートルズ「SHE LOVES YOU」、チャイコフスキーバイオリン協奏曲二長調ヴェルディ「椿姫」、マーラー大地の歌」、ベートーベン「喜びの歌」

どうも私はクラシックを吹きたいらしい。
何故だろうと考えたら、バンドではクラシックなんてやってなかったので、いつか手玉に取ってやろうというコンプレックスがあったようである。
コンプレックスをぶち壊し、吹き飛ばす私の鼻息の荒さは増すばかり。

楽器が小さくて演奏しているように見えないのが、この楽器使いとしては若干悔しいところだ。
モスリンさんが得意げに演奏しているトルコ行進曲にいきなり挑戦してみたが、これは手強い。途中からの絶技はやはりとても真似できない。あそこまで到達するにはあと2、3日はかかるな。いや。1年かな。

しかし、これでアジア放浪で宿代を稼ぐ手立ては整った。
できるだけお金持ちのいそうなデリーのショッピングセンターあたりでトルコ行進曲をやれば200ルピーくらいには投げ銭稼げるか、すぐに警備員に連れ出されるかどちらかだ。
考えただけで興奮してくる。

家族にも勧めてみたが、「私はいい」と結構醒めた反応。
やはり演奏の様子に問題があるんだろうか。

猫のもみじはリコーダーが嫌いだっただけあって、私が演奏を始めると別の部屋に行ってしまう。
わざわざ近くで演奏するととても迷惑そうな顔をする。
猫にはわからんな。

リラックスしているもみじ。

とても私の演奏を嫌がっているもみじ。

トルコ行進曲かラフマニロフのややこしいのが吹けるようになったら、ユーチューブにアップするから見てね。