ライフスタイルコーディネーターというお仕事

お仕事が多様化してきている。

野菜ソムリエという方もいた。比較的わかったような気分になるお仕事ですね。
レストランで「ちょっと、渋みの効いた、それでいて後味がさわやか、しかも歯ごたえはしっかり」とお願いすると、にっこり笑って厨房へ消え、ふきのとうを持ってきて、「こちら今朝うちの庭から採ってきたばかりのものなんですよ」と出してくれる人なのかなあ、と想像できる。

他には温泉ソムリエの方もいらっしゃる。こちらは素直にありがとうと言いたい。
でもわかりやす過ぎてあまり面白くない。

皆様はライフスタイルコーディネーターのお仕事をよくご存知かもしれないが、私、昨日初めてそのようなお仕事があることを知ったもので、ワクワクしながら検索してみたら、頭が割れそうになった。ほとんどご自身がライフスタイルコーディネーターと称される方が書かれたブログなのだが、いくら読んでも、正体不明。でも、ご自分が色々な衣装にお着替えになった写真が掲載されていたり、「撮影会を開催します」という告知があったりで、どのように金銭授受が行われるご職業なのか見当がつかない。その前に何をされているのかわからない。

「私のライフスタイルはどうしましょうか」という依頼人が来たりするんだろうか。
「そうね、あなたは可愛いワンちゃんを飼って、結婚しないのがいいんじゃない」とかご指導くださるんだろうか。「そうですね。目からうろこが落ちました。ワンちゃん飼います」なんてことがあったりしたらすごいよ。
コーディネート料はいかほどなのかしら?
職業がライフスタイルコーディネーターなんだからお金取んなきゃ食って行けないでしょ。
1000円ってことはないな。占いだって著名な方はお高いらしいじゃない。

うーん。私の人生を振り返ると、まるで一貫していないので、「これからどんなライフスタイルが一番でしょう」と聞いてみたい気もするな。「55歳の人のライフスタイルなんて、どうでもいいんじゃない?せいぜい生きてあと20年でしょ」とか突き放されたりするかもしれない。まあ、そう言われればその通りだな。
でも、人の話じゃつまらないから、自分の相談をしたい。

「コーディネート料はいかほどでしょう」
「それは、まずお話を伺ってからでないと」
「そうですね。じゃ、生まれてから今までの人生について1週間くらい聞いていただいて」
「そこまでは必要ありませんのよ。大倉さんの場合はこの2、3日でよろしくてよ」
「それで私にピッタリのライフスタイルをご提案いただけるんでしょうか」
「実はもう、大体のことはこれまでのお話で見えてきていますから、30分くらいでこの2、3日のことをかいつまんでね」
「まだ、30秒も会話してませんよ」
「もう20年もこの仕事をやっていると大丈夫なんです」
「いったいおいくつなんでしょうか」
「それはレディに聞いてはいけないわ」
「この2、3日ずっと下痢なんです」
「お医者さんには?」
「セイロガンで頑張っています」
「お医者さんに行ってください」
「わかりました」
「では、1万円いただきます」
「下痢の時は医者に行くというライフスタイルのご提案なんでしょうか?」
「それが何か」

違うな。こんなことには絶対ならない、と信じたい。

「なんとなくハッピーじゃない気がするんです」
「それは大変。ハッピーだったことはありますか」
「おおむねハッピーです」
「いつ頃からハッピーじゃないと?」
「この2、3日です」
「理由は見当がつきますか」
「下痢なんです」

どうも同じところに話が行ってしまう。

ともあれ、ライフスタイルコーディネーターの方のホームページ、ブログにはハッピーという言葉が多い。ハッピーに過ごせればすべてよしということなのだろうか。

「エジプトの大統領選でイスラム同胞団系のムルシ氏が僅差で勝ったんですが、その前に軍が議会解散を命じているんです。そんな権限は誰も軍に与えていないのに。選管がもたついている間に立法権もあげないって言い始めてるんで、大統領になっても何もできないという一種のクーデターだと思うんです。ムルシ大統領が黙っているわけないんで、またエジプトは大混乱になるんじゃないかと心配しているんです」
「それって、あなたの生活に関係あるんですか」
「心配だってことで充分関係あると思うんですが」
「全部忘れてください。そうすればハッピーになれます」
「でも、イスラエルとの関係が悪くなると、最悪のケース、また中東戦争の可能性もありますよ。そんなことにはならないと思いますが」
「なってもならなくても、大丈夫です。あっちの方には行かないでくださいね。じゃ、これで。1万円」

ってのはなあ。あり、なし?

ライフスタイルコーディネーターって儲かるんだろうか。
私もやってみようかしら。

自分のライフスタイルを他人にコーディネートして欲しいと思うアンポンタンな方は、是非私のところへ。

あ、こんなとこで暮らしたいって思ったこともあった。